このページは,立教大学 経済学部 政治経済学1の2010年度の定期試験(2010年07月2日実施)の模範解答のページです。
模範解答は2010年08月10日現在,暫定版なので,後日若干の修正・追記があるかもしれません。
その他,今後のスケジュールとしては,8月上旬に成績評価の結果を公開する予定です。
どの問題も,講義で説明したものばかりです。
論述問題の模範解答はベストの解答ってわけじゃありません。満点を取るための最低限の解答ってことです。
以下の問題のすべてに答えよ。その際に,どこまでがどの問題の解答なのか,わかるように,必ず解答用紙に解答番号を明記すること。
労働の社会的生産力を,二つの面(量的な面と質的な面)から,具体例を挙げて説明せよ。
労働の社会的生産力は,およそ労働において諸個人が協力し合う際に生じるすべての生産力である。それを量的側面と質的側面とに分けると,以下のようになる。──
まず,個人的生産力の単なる総和を超えるような生産力が生まれる。すなわち,1+1が3にも4にもなる。例えば,……〔具体例は省略〕これは労働の社会的生産力の量的側面と呼ぶことができる。
次に,そもそも個人では決してできないことができるような生産力が生まれる。すなわち,そもそも量の違いに還元されえないような質的に新しい生産力が生まれる。例えば,……〔具体例は省略〕。これは労働の社会的生産力の質的側面と呼ぶことができる。
経済的利用という観点から,また経験的知識との比較において,科学的知識の特徴を,具体例を挙げて説明せよ。
経験的知識が非公開である(そもそも公開することができない)。これに対して,科学的知識は形式化されているから公開可能であり,実際にまた公開されている。したがって,それはだれでもそれにアクセス可能である。例えば,……〔具体例は省略〕
また,経験的知識は非体系的である(それぞれの知識の間に関連がない)。これに対して,科学的知識は,基礎分野から応用分野へとツリー状に体系的になっている。したがって,それはいろいろなものに応用可能である。例えば,……〔具体例は省略〕
また,経験的知識は,通常,それが利用される労働を経験していくうちに自然と身に付く(体得する)ものである。これに対して,科学的知識はそれが利用される労働よりも前の時点で学習によって修得しておく必要がある。例えば,……〔具体例は省略〕
組織社会・知識社会というキーワードを使って,具体例を挙げながら,生産力要因から現代資本主義社会を特徴付けよ。
現代社会の生産力要因は協業,分業,科学的知識の応用である。
生産力を高めるためには科学的知識の意識的・計画的適用が決定的な要因である。科学的知識は何よりも先ず労働手段に適用され,こうして労働手段は道具から機械設備の体系的ネットワークに変化する。その上で,このような生産において最も必要になるのは,生産に先行してすでに科学的知識を入手している労働力の発揮,すなわち,複雑労働の一種としての知識労働である。例えば,……〔具体例については省略〕。この点から見ると,現代社会は知識社会である。
上で見たように,科学的知識の応用は,何よりもまず,機械設備の大規模なネットワークとして実現される。個々の企業の内部で,多数の人間がこのネットワークに沿って配置されることになる。したがって,科学的知識の応用が行われると,必然的に協業・分業が行われ,企業の内部に大規模な組織が形成されることになる。組織の力は企業の力であり,この組織の中で個人が自分の力を発揮する。例えば,……〔具体例については省略〕。この点からみると,現代社会は組織社会である。