試験に出すのはあくまでも講義で取り挙げた内容であり,それはすべてスライド配布資料の中に含まれています。レジュメには,講義で取り挙げることができなかった細かい問題が含まれています。そういうトピックスは試験の範囲外になります。逆に,レジュメには書かれていないが,講義内で取り挙げて,したがってスライド配布資料に含まれているようなトピックスもあります。そういうトピックスは試験の範囲に含まれます。
こういうわけで,レジュメは,講義を聴いたりスライド配布資料を読んだりしてもよくわからなかった点について利用するといいでしょう。
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講義内容を理解するために役立つかもしれないレジュメ・スライドです。
「4. 市場社会のイメージ」の参考に。レジュメは上にリンクを貼ったものとほぼ同じなので,ここではリンクを貼りません。
「4. 市場社会のイメージ」の参考に。
資本主義的市場社会を特徴付ける競争には,部門間での競争と部門内での競争とがあります。イノベーションの考察の際に問題になるのは,主として,部門内競争の側面です。また,均衡状態の破壊は,需要側の変化(市場ニーズ)によっても供給側の変化(技術シーズ)によっても生じます。言うまでもなく,イノベーションはそれ自体としては供給側の変化です。
この「需要と供給」のところでは,われわれが考察しているイノベーションの話の前提になる──そして,前提として講義の中では度外視してしまっている──,社会全体で期待利潤率の均等化をもたらす部門間競争,そして需要側の変化による均衡破壊のその回復を取り扱っています。
この講義の「資本主義社会のイメージ」とほとんど同じなのでスライド・レジュメにはリンクを貼りません。なお,補足スライドである「企業の経済指標」のスライドでは,回転速度と剰余価値率という理論的概念を,回転率と売上高利益率という実務的指標に,かなり無理矢理に接合して,話をわかりやすくするように試みています(かえってわかりにくくなっているといううわさもあり)。
個々の企業における資本の回転速度の問題と付加価値の分配比率(剰余価値率)の問題とは──両者とも個々の企業の収益性に重大な影響を与えますが──分けて考える必要があります。とは言っても,イノベーションは両者を好転させますし,また,どちらが好転しても,社会全体での剰余価値率の間接的上昇に与える影響は全く同じです。ただし,講義の中では,何よりもまず,説明の順序として,個々の企業の内部での剰余価値率の上昇によってイノベーションを説明します。
社会全体の経済成長の限界を考える際には,社会全体での付加価値総量の増大,したがって社会全体での絶対的な労働時間の増大を無視することはできません。そして,社会全体での絶対的な労働時間の増大は結局のところ,その労働力人口の成長によって限界付けられています。
さて,もし労働力人口が一定であるならば,社会全体での絶対的な労働時間の増大,したがってまた社会全体での付加価値総量の絶対的増大は,個々の企業の中で従業員一人あたりが単位時間内に発揮する労働量の増大(労働時間の外延的延長,あるいは労働強度の内包的強化)によって達成されるしかありません。しかし,もしすべての企業が際限なく労働時間の外延的延長なり労働強度の内包的強化なりを行うならば,それはやがて限界に達してしまいます。そこで,経済成長を説明するためには,どうしても,イノベーションによる生産力の上昇が必要になってくるわけです。
このような,イノベーションの説明の必要性に関する前提議論は,時間の都合で講義の中ではさらっと流してしまっています。講義の説明がわかりにくかったらここのレジュメをご覧ください。